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依頼者:M雄さん(仮名・58歳)は、24年間の結婚生活を送り、6人の子供を持つ家庭を築いてきた。6年前、M雄さんはタイへの転勤を命じられ、家族全員でタイへ移住したが、1年半後に子供たちの学校の関係で妻と子供たちは日本に帰国。M雄さんはその後も単身でタイに残り、仕事に打ち込む日々を送っていた。
タイの蒸し暑い気候の中で、M雄さんは日本の家族との再会を楽しみにしていた。3年ぶりに帰国した彼を待っていたのは、冷たい現実だった。妻・S美(仮名・46歳)は「一緒にいたくない」と告げ、M雄さんはホテル暮らしを余儀なくされた。何とか家族の絆を取り戻そうと話し合いを試みたが、妻の態度は変わらず、結論が出ないまま再びタイへ戻るしかなかった。
9か月後、Mさんは再び帰国。しかし、妻はさらに冷たく、「家にいるなら私が出ていく」と言い放ち、Mさんは再びホテル生活に戻った。そこで、彼は一番上の19歳の長女に相談すると、長女から「お母さん、たまに帰ってこないこともある」と告げられ、これが妻の浮気を疑う決定的なきっかけとなった。
M雄さんが妻の浮気を疑うのにはいくつかの理由があった。妻は以前よりも外出が増え、帰宅時間が遅くなっていた。さらに、スマートフォンを肌身離さず持ち歩き、ロックをかけるようになり、突然おしゃれに気を使い始めたのも不自然に思えた。そして、妻が再びテニスを始めたことが気にかかっていた。
こうした疑念を解消するため、M雄さんは探偵事務所に調査を依頼。私たち探偵は、まず妻S美さんの行動を尾行し、その行動パターンを追った。調査の結果、彼女が毎週決まった曜日に車で外出し、福岡市内の住宅街にある一軒家を訪れていることが判明。その家には岩城公二(仮名・51歳)という男性が住んでおり、建設業を営む一人暮らしの男だった。
妻は頻繁に岩城の家に出入りし、時には長時間滞在することも確認された。テニスサークルで出会った可能性が高く、調査を進めると、二人が2年前に福岡市内のテニスサークルで知り合い、そこから親密な関係を続けていることが分かった。
私たちの調査は、尾行と張り込みを中心に行い、妻の行動を詳細に記録した。彼女が自宅から出かける時間、車で向かう先、そしてその間の行動を記録し、証拠を確保。さらにGPS追跡によって、妻がどのルートを使い、どのような場所に立ち寄っているかも把握した。
また、現場の周辺ではカメラを使用して、妻が岩城宅を訪れる姿を写真に収めた。さらに、岩城の自宅前には無造作に置かれたテニスラケットやボールがあり、これは妻がかつて通っていたテニスサークルに関連する可能性を示唆していた。
こうした調査を通じて、妻が岩城と頻繁に会っているだけでなく、数日間泊まることもあったという事実が明らかになった。
探偵事務所からの最終報告は、M雄さんがタイで仕事をしている中、WEB上で行われることとなった。タイの蒸し暑い気候の中、M雄さんは自宅のバルコニーでパソコンを開き、Zoomでの報告を待っていた。調査結果は、探偵がまとめたPDFファイルや映像記録を共有し、M雄さんはそれをタイでリアルタイムに確認した。
探偵は、妻の不貞行為が確実であること、岩城との密会が長期間にわたって続いていたことを淡々と報告した。M雄さんは、タイの夕方の熱気の中で、深いため息をついた。報告書に添付された写真や映像は、妻が岩城の家に出入りする決定的な瞬間を捉えており、M雄さんにとって逃れられない現実を突きつけた。
「ここまでか…」
M雄さんは冷たい現実を受け入れざるを得なかった。だが同時に、どう対処すべきかを冷静に考え始めた。タイにいるという物理的な距離が、すぐに行動に移せない彼を悩ませたが、弁護士に相談することが現実的な選択だと考えた。直接対峙するには距離がありすぎた。
タイの蒸し暑い夜、M雄さんは再びパソコンを開き、弁護士に連絡を取った。証拠をもとにした法的な手続きが最善であると判断し、まずは冷静に話し合いの場を設けることを決意した。弁護士はWEB会議での対話を提案し、状況に応じた対応策を提示した。M雄さんは、家族の未来に悪影響を及ぼさないよう慎重に進めることにした。
このように、単身赴任による物理的な距離は、夫婦間に新たな課題をもたらすことがある。今回の調査結果は、M雄さんが遠くタイにいながらもWEB上で証拠を確認し、冷静に次のステップを決める重要な要素となった。探偵の調査は単なる事実を明らかにするだけでなく、依頼者が次の一歩を踏み出すための支えとなるのだ。